• HOME
  • みつる工芸

- Craftman - みつる工芸 (柿渋染め)

(作品名)
妖怪のれん

(展示パネル)
こちらの作品は京都・大原で麻の柿渋染めを得意とするのれんの名店の一品です。柿渋は最高品質といわれ、柿のタンニンの含有率が高い南山城地方産のみを使用しており、混ぜ物の多い現代において、混ぜ物なしの本染めの色味が楽しめます。また、手びきの麻を紡ぐ麻績み(おうみ)、さらには手織りで仕上げる本麻にきめ細やかな染め上げが可能な引染(ひきぞめ)を施すなど数々の工夫が見られます。また縫製は関西仕立てと言われる様式で、のれんの又の縫製を手縫いで千鳥掛けにすることで麻の生地が引っ張られず、長持ちする様にあしらわれています。この様な職人の技を現代のグラフィック作家である平塚氏が、可愛らしくなんとも力の抜けた百鬼夜行の行列が躍り出す逸品です。

(プロフィール)
みつる工芸は平成7年9月1日に、当時は生地卸商としてデビューしました。
その頃は安井満が1人で麻生地を京都の呉服問屋街の室町界隈や帯の西陣周辺、また染め工房や手芸屋さんに卸していました。
その後、店舗用のれん製造業、いわゆる印染めから多彩 なインテリア、座布団、タペストリーなど商品を展開していきました。
天然の染色に特化した染め工房になったのはその頃で、自然に囲まれた京都大原という土地柄、ごく自然に回りにあるものを染色に使っていきました。
柿渋染めもその頃からスタートし、渋柿をつぶしては夏の終わりにつけ込み、次の年に使うといったサイクルだったのですが、
ご注文に追いつかず、またより高品質の柿渋を求めて南山城地方(現在の京都府相楽郡、綴喜郡のあたり)産を使うようになりました。
この南山城地方産の柿 渋による柿渋染めがとてもよく、いい発色と使い古しても色落ちが少ないものができました。
柿渋のタンニン含有量が素人が醗酵させたものとは全然違うのです。
みつる工芸は、試行錯誤を繰り返し、より良い色、より色持ちの良い染色を求めて今後も更なる追求をおしみません。